新海 誠 監督の最新作、「すずめの戸締まり」。とても良かったです。
本気の「新海誠の映画だわ!!!」と見終わったときに感じました。
非常に重要なテーマと事を据えて取り組んでいるということを感じさせる作品になっています。
この映画は、ぜひ映画館/IMAXでご覧になられると強烈でおすすめです。(ただし地震に対する耐性を持っていること)
以下ネタバレを含みます。
面白いところ
地震
ミミズによって引き起こされる地震に対する描写・音響が本当に強烈です。
公式から緊急地震速報の警報音(ただし実際とは異なる)が鳴ると聞いてはいましたが、
映画『#すずめの戸締まり』
ご鑑賞予定の皆様へ pic.twitter.com/KVfAk6s2aw— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) October 22, 2022
あれほど何度も鳴るとは、そしてそれが映画館の音響と合わさって凄まじいインパクトを与えます。
そしてダイジンが生き返るときのドクンにはちょっとびっくりしてしまいました笑
IMAXで観てよかったです。
ダイナミックさ
地震と少し近いですが、ミミズに対処するために何度も後戸となってしまった場所へ向かい、力を振り絞って扉を閉めに行く様はジェットコースターのようで面白いと思います。
特に学校を閉じるときは、椅子になってしまった宗像草太では閉じれない…!すずめさんに閉じてもらうしか…!となったときにすずめさんの動きで魅せていたと思います。
自然災害(地震)をミミズと置く
ミミズは意思がないということでしたが、まさに自然そのものだと感じて良い設定だなと思いました。
抽象的自然のアニメみたいなものでは「結城友奈は勇者である」という作品がありますが、あちらはバーテックスや天の神という意思をある程度持った存在で、自然さはないですが、このミミズは自然という予測不可能さ、理不尽さがあってとても自然に感じました。
様々な場所での出会い
ダイジンを追いかけていくなかで、すずめちゃんが色々な人にお世話になっていっていきました。
愛媛では友人として仲良くなり、兵庫では親のような関係で仲良くなり、東京からは芹澤朋也と出会ったりなどして、その土地に滞在していくという移り変わっていく展開の速さがあります。
常世
扉を閉めるなかで、常世という場所にスポットがあたって、常世の謎を通じて主人公のかつての思い出に触れていくというストーリーはとても綺麗だと感じます。
映画冒頭で扉の向こうの綺麗な景色であった場所から、ミミズとの戦いを通じて徐々に閉めなければならない場所になり、草太さんを助けに行かないと行けない場所、そして草太さんの祖父の言葉から、過去との精算という形に移り変わっていきました。
特に祖父の言葉で人生で常世へ行ける扉は1つしかないと知って、宮城という自分の過去のある場所へと向かって行くというのはこの映画の「扉」というものを特に表していると感じます。
すずめの成長
上記の「常世」のセクションとも繋がりますが、過去との精算を最後に椅子を渡すことで果たして、そしてあのとき見た姿は実は草太さんではなくて、自分自身の成長した、未来の姿だという、その綺麗さは本当に好きです。
そしてだからこそ、頑張ってねと心をかける姿に感動を覚え、すずめちゃんが乗り越えていかないといけないというところに涙してしまいました。すずめちゃん…がんばれ…。
この映画の目的
3.11
最初は自然災害とか漠然としたものがテーマなのかなぁと思いながら、いまいち分からなかったのですけど、最後につれて主人公が東北・宮城生まれであったことが分かって、そして「……綺麗? ここが?」でゾクッとします。
3.11から12年になろうとしていますが、これを本気で据えたことは凄いと感じます。
演出など含めて相応のものを作れる、新海 誠 監督だからこそできると思います。
コロナ禍 と 失われていく人々の思い
今回の映画ではその地域での思いが失われてしまうことで後戸が開いてしまうということでした。昨今のコロナ禍で旅行や帰省できなかったり、人と会うことができなかったコロナ禍によって失われる人の繋がりを表しているのかなと少し感じ、ぜひ今を生きる多くの人に観てほしいと感じました。
個人的には人々の心から失われた場所というのは今年のアニメ映画「雨を告げる漂流団地」を思い起こしました。あちらもいい作品であると感じています。
(3.11の要素がないバージョンの「すずめの戸締まり」かもしれません) (適当です)
少子高齢化で縮小していく日本という国において、過疎化が進むのは避けられないことではありますが、そこにあっただろう思いを感じることだけでもできたらなと思います。
生きる希望
新海 誠 監督は配られた本の中で生きる希望を感じてもらったらみたいなことを書いていましたが、まさに死とは少しの差でしかないという今回の映画から、「生きたい」と思わせてくれるものがありました。
なぜなのかは自分は今ここに書ける力はないですが、とても感謝します。
意外だったところ!
さてここからは気楽に書かせていただいて、意外に感じたところです。
なぜ恋したし!?
いや、草太さん椅子やし…イケメンだったからってそんなに…?ってつい思ってしまいました。
なぜなのでしょう、主人公から草太さんがどうして好きなのかとかの話が展開されなかったからかもしれません。
面白さには影響しないので問題なしです。
意外とすずめちゃんがコミカル笑
すずめさんってビジュアルを見ると美人系なのかな、とか思っていましたが、めちゃくちゃ元気だし、ダイジンを追いかけるために必死で頑張る姿は応援したくなんてしまいます笑
とりあえずPVとかと違ってコミカルで驚きました。
ダイジン (白い猫)
最初は悪役かとPVでは感じさせるものでしたが、なんとすずめちゃんが自分のことを好きだと思って、そしてすずめちゃんの手助けをしようと後戸の場所を案内してくれる心優しい猫ちゃんでした…。
そして「一緒に居たい」という思いは完全には果たされないまま、要石となったダイジンは、どうしても可哀想に感じてしまいます。
要石となってくれてありがとう……ダイジン……。
そういえばRADWINPSの歌、最後だけ…?
今回はかなり減りましたよね。(個人的には良いと思います)
そういえば椅子の脚は?
椅子の脚がないことについては説明がなかったかと思いますが、瓦礫の中から見つけただろうこと、お母さんという存在を失った象徴として描かれているのかなと理解しました。
どうして最初、草太さんを追いかけたのか
最初の草太さんと出会うシーンは恋だったのかな?とか思いましたが、最後に被っていた白衣が草太さんのものだったことから、あの白衣になんとなくの覚えがあってついていったのだという理解に至りました。
総じて
とても良い映画だと思います。地震警報や地震描写は正直怖かったけれど、本当に凄かった。凄い映画です。
ぜひ、もう一度見に行きたいと思わせるような映画です。
(個人的には君の名は、よりもリピートしに行きたい映画に感じました)
というわけで、長々と感想を書かせていただきました。新海 誠 監督を筆頭としてスタッフの皆様、素晴らしい作品をありがとうございました。
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