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【映画】近年邦題の原題改変がダサい

日常

最近海外映画の予告で副題をよく見ないだろうか。

あれの多くは原題を邦題にする過程で追加されたもののようで、正直ダサい。


例えば2017年にリメイクされた映画『IT』。この作品の邦題は『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

個人的にはダサめ。シンプルに訴えかける原題を破壊する長さ、そのうえ妙に句読点が含まれているのが何とも言えない。「作品を的確に表しているか」と問われると、そうでもない。中盤からルーザーズ・クラブの子供達は様々な恐怖現象を体験するが、まったく終わりはしない。

続編もあるが、原題『IT CHAPTER TWO』に対して邦題は『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。

改題に関して捻りがない。これなら「CHAPTER TWO」で良かったじゃないか。どうも「THE FIRST」とか「THE END」といった厨二的表現を好んでいると錯覚してしまう。


このように蛇足なタイトルもあれば原題を完全に無視したものも多い。これは人生観を表現した所謂感動物にみられる傾向だと考察する。

例としては『6才のボクが、大人になるまで。 』や『最高の人生の見つけ方』だ。(原題『Boyhood』, 『The Bucket List』)

原題を直訳するのではなく、独自の解釈で日本語化している。

Boyhood』の邦題は文章体で不自然に感じる。近年ライトノベルのタイトルの長さが度々ネタにされるが、これも同じように思える。「小説家になろう」をはじめとした投稿サイトでは本文を読んでもらうためにタイトルで興味を持ってもらわなければならない。そこで、物語の概要を全てタイトルで完結される傾向がみられるようになった。しかし、映画はそうではない。広報の媒体が動画であるのだから文字の他にもメッセージ性を持たせることは十分可能だ。それなのに何故タイトルをいじるのか分からない。

The Bucket List』は「死ぬまでにやりたいことリスト」という意味だ。(「死ぬ」を示す”kick the bucket”が由来)本作品は余命宣告を受けたカーターとエドワードが”The Bucket List”を実行する物語。当然、物語の鍵となるのは”The Bucket List”であり、結末においても重要な要素となる。この作品を鑑賞したことがない人もこれで分かったと思うが、本作品のタイトルとしては”The Bucket List”(またはそれを示すもの)以外にありえない。翻訳の過程でタイトルから受ける印象が変わった気がして、それならば『バケットリスト』でも良かったと感じる。また、無理に改題する過程で英語圏特有のイディオムが失われてしまうのも少々残念だ。


上では「蛇足な副題」「原題の無理な翻訳」に対して文句を言ってきたが、上には上がいる。作品のメッセージ性すら完全に無視した改題も存在する。

近年ではMCU作品の『Thor: Ragnarok』が分かりやすい。これは(MCU)マイティー・ソーの実写映画第3作であり、ソーが民を守るために故郷であるアスガルドを捨てる決断をするまでの成長を描いた作品でもある。民を守るためにソーが起こしたのがラグナロクであり、原題はそれを焦点としていることが容易に想像できる。(それ以外にも勿論意味はあると思うが。)

しかし、邦題ではこの原題にラグナロクを起こしてしまった。その結果『マイティ・ソー バトルロイヤル』というタイトルになった。確かにソーが闘技場で闘うシーンは存在したが、これはハルクとの再開イベントであって本作品の本質はそこではない。本当に意味が分からない。


小説において翻訳の過程でタイトルが改題されることは珍しくない。筆者としてはこれに対して特別否定的に捉えてはいない。媒体が文字であることも大きい。情報源が文字のみであるからメッセージ性のズレを感じることは多くないので原作の意図との間にズレがあったとしても大きな違和感にはならずストレスは感じにくい。

しかし、映像という媒体は言訳が効きにくい。原作のメッセージ性を理解しなければ映像や音声等にズレが生じて違和感となる。そのうえタイトルがズレていれば尚更だ。


話は変わるが、近年の映画の副題は適当につけたかのように安直なものが多いように思える。

代表的なものがそれっぽい横文字

昨年の作品だと『ルパン三世 THE FIRST』だ。筆者はこの作品を視聴していないので感想を述べることはできないが、このタイトルのB級っぽさは否めない。『LUPIN THE THIRD THE FIRST』とよく分からない。山崎貴監督は他にも『STAND BY ME ドラえもん』や『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を送り出してきたが、評価は別として横文字部分にもしっかり意味を持たせてきた。『ルパン三世』シリーズにおける3DCGアニメーション化は初の試みではあるが、3DCGアニメーション映画としては特に珍しい訳ではない。やはり安直だったのでは。

今年公開の映画としては『るろうに剣心 最終章 The Final / The Begining』 がある。終わったのか始まったのかはっきりしてもらいたい。「自身の過去に折り合いをつけて未来に進む」といったメッセージを含んでいるのかもしれないが分かりづらい。また本シリーズは実写第1作の後、第2/3作は『京都大火編/伝説の最期編』と漢字主体の副題で完結しており、原作の「京都編」を表わしている。今作(第4/5作)は原作の「人誅編」に当たると考えられるが、この部分は副題から読み取れない。実写シリーズの背表紙を横に並べたときに一貫性がない。


最近は物語の主幹に沿ったタイトルよりも一目で分かりやすいタイトルの方が好まれると思われていると感じた。「作品を深く観て考察する」のではなく、「事前に答えを貰った上で視聴する」という形が一般的なのかもしれない。この点は所謂なろう小説のタイトルに見られる傾向と同じだと思う。ただ、筆者としては作品の見方を少なからず固定化させるような原題改変は行わず、視聴者の感性に任せても良いのでは?と考えている。

延期されてしまったが、ピクサーの最新作『2分の1の魔法』が公開予定である。タイトルや予告からは「コメディ」「ファンタジー」といった印象を受ける。だが、原題が『Onward』(「前進」, 「向上」の意)であることからキャラクターの成長を描いた作品であることが予想される。これを(敢えて?)誤魔化して公開される本作品にどのような印象を受けるのか、是非観に行った上で感想を交わしたい。

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