食べ放題にて旧友と出会う

日常

父の提案で家族で焼肉を食べに出かけた。妹の部活の大会が終わったので「おつかれさま会」を兼ねているのかもしれない。最近は外出する機会も少なくなり、久しぶりの外食だった。

食べ放題だったのだがこれが意外と食べられない。登下校を含めて運動をしていた時期に比べると目に見えて体力が落ちている。そうだ、食事には体力が必要なのだ。

当然体力の劣った自分は二回目の注文時のカルビクッパを食べている時に満腹中枢の叫びを聞いた。店内の熱気に当てられ夏バテを感じていたのも一因やもしれない。

妹は何事もないかのように食べ続けている。現役体育会系の食欲は凄まじい。最初は腹が減ってないだとか漏らしていた癖に。

何とか手元のクッパを制覇し注文用タブレットの時間を見ると最終オーダーまで30分も残っていた。姿勢を崩し、腹を摩り、天井のシミを数えていた頃、妹に残り時間を聞かれたので確認してみると未だ6分しか経過していなかった。

ここからの時間は長い。しかしこの感覚とは旧知の仲だった。授業中に便意を催した時のあれだ。

今回に関しては便所という楽園はない。逃げられない。そういった点では嘗ての固い床で足を組み長話を聞き流す訓練に似ている。

下手に動いたら逆流してしまうような…とは言っても動かずとも辛い。考えたら負けだ。妄想が悪い方に働く。そう直感し虚構を見つめた。自分が無我の境地に達するなら満腹の時だろうな、と後に語ることになる。

ふと気づけば残り10分を切っていた。気が回復したのだろうか。喉に広がる不快感が息を潜めていた。噴火寸前であったはずの火山は沈黙している。

皆が最後にデザートを注文すると言うので黒蜜きな粉ソフトクリームを頼んだ。甘い物は別腹との噂だ、問題ないだろう。

実際大丈夫そうだった。この程度の負担であれば僕の中のプロメアは暴走しない。オーダーも既に締め切られた。もう大丈夫だ、そう思った。父の茶漬けが運ばれてくるまでは。

あの茶漬けは一種の事故だった。確かに父は注文した茶漬けが来ないと言っていた気がする。だが、待てど暮せど一向に姿を表す気配がなく、無き物としていた節があった。そいつがデザートを食べている時に割り込んできた。

父も十分に食べていた。「ごちそうさま」と言う前、そこに茶漬けだ。自分が注文したクッパと同じ服を着て現れた。心なしかスプーンの進みも遅い。

その光景を目の当たりにし十数分前の自分がフラッシュバックしてしまった。途端に喉から不快感が顔を覗かせる。自分は味わうタイプだった。手元に1口分のアイスが残っている。これが進まない。扉を開けて閉めればこちらの勝ちだ。それだけの動作に時間を要した。最後の一口は雪解け模様だった。

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