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日常Durey

「教室をお弁当と再定義すれば、俺は食べこぼしをしていない。」と言い訳する先輩はやっぱりおかしい。

日常

高校時代に明らかに頭のおかしい部活の先輩が一人いた。

この人は、いつもは物静かでまじめな先輩なように見えるのだが、たまにとてつもなく変なことをしだす。

僕が高校1年生の10月のことだ。僕たちの部活は、お昼ご飯を自分たちの教室で食べずに部室で一緒に食べる風潮があった。

12時半、いつも通り部室に向かうと何だか香ばしい香りがした。

私は、まだ何も思っていない、高校の物理室なんて、教員が実験などでろうそくなどを燃やすことなど良くある話だからだ。

だか、なぜか少しいい匂いがする。

恐る恐るドアをあけてみた。

そこにあったのは、、、、、、鮭だ。鮭だったのだ。
ろうそくなどではない。魚の、あの鮭だったのだ。

先輩が、物理室でガスバーナーと金網を取り出してお弁当のおかずの鮭を焼いていた。
そんなことはあるのだろうか…。

目をこすってもう一回見てみる。やっぱり鮭だ。これは幻覚などではない。何度見ても、先輩が鮭をガスバーナーで焼いている光景が見える。

先輩は、黙々と鮭を焼き、お弁当箱に戻して、おいしそうに食べていた。

誰もがびっくりするが、多少の突っ込みを入れて、みんなが通常運転に戻っていく。
おかしいと思うのは、自分だけだろうかと勘違いしてしまいそうになった。

その後、たまたま来た先生にバレた後、死ぬほど怒られていたことは秘密である。

また別の日、先輩は今日もおいしそうにお弁当を食べていた。

しかし、お弁当のおかずを先輩が床に落としてしまった。

僕は先輩に「食べこぼしはだめですよ。気を付けてくださいね」と注意をした。

……………

先輩は言い返せないのか、数秒の沈黙が続いた。

その後、こう言い放った。

「教室をお弁当と再定義すれば、俺は食べこぼしをしていない。なぜなら、お弁当箱におかずを落としたのだから。」

僕はそれを聞いて「あっ、そっか。床じゃなくてお弁当に落としたんだから食べこぼしじゃないな」と一瞬納得した。

しかし、3秒経って気が付いた。

「ん?そんなわけあるかぁ!?」
「お前、それっぽい言い訳で言ってるんじゃねぇよ!」

教室がお弁当になることも、お弁当が教室になることもこの世には存在しないだろ。絶対。仮にあったとしても、それはシルバニアファミリーかレゴの世界くらいでしかできないだろ。

まぁ、でも正直腹を抱えて笑ってしまった。

笑ってしまったら、もうこれは僕の負けである。

今日も、先輩は変なことを言っているに違いない。

また、地元に帰ったら会いにでも行くか。

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