メメント:この作品でノーランは”構成力”を見せた

レビュー

前回に引き続き映画レビューです。

自分は映画が趣味の一つなのですが、こう言うと、普通の人は「何の映画が好きなの?」あるいは「いい映画教えて?」と聞いてきます。

自分はこう聞かれたときは「クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー(2014)』かな」と答えるつもりでいます。

でもこれはあくまで映画が趣味の人ではない場合で、もし僕と同じような映画好きが同じ質問をしてきたら『ノーラン監督のTENET(2020)』と答えます。

なぜ違う答えを返すのかというと、『TENET』の方が玄人向けだからとかではありません(まあ確かにそうではあるが)。少し込み入った映画好きはただ感動できる作品や泣ける作品ではなく、『映画であるから面白い』作品を好む傾向があると思うからです。

世に蔓延る小説の映画化、あるいはアニメ漫画の実写化。あるいはドラマの番外編の劇場版。これらは別にテレビや配信で見てもいいかなあと思うし、劇場で見ることがテレビや配信と比べて差別化できているとも感じません。

しかし、映画館で観たい!と思うような映画があるのも確か。つまり、『映画であるから面白い映画』。前者と後者を分けているものは何かと考えると、やはりまず思い浮かんだのは構成力かなあと。

でも構成力って何?と言われても、自分ではうまく説明できないし、やっぱり「よく構成された映画」を見るのに尽きるのかなあと思います。

というわけで前置きが長くなりましたが、自分が考える「よく構成された映画」の一つである『メメント』を紹介していきたいと思います。

一つの時間軸、主観的な現実と客観的な過去

メメントという映画の特殊なところは主人公の見ている現実と主人公の過去が一シーンごとに切り替わっていく点です。「そんなのごっちゃになるよ」と思った方。ご安心ください。過去のシーンは白黒映像になっているので、すぐにわかるようになっています。

さらに複雑なのは、カラーで描かれる主人公の現実のシーンが時間軸と逆の順番で並べられている点です。

つまり、過去から時間の経過とともに現実に近づく白黒のシーンと、過去に向かって並べられたカラーのシーンがどんどん近づいていくというのが、この作品の特徴なのです。

分からない?

じゃあノーラン監督、説明お願いします。

なぜこういう構成をとったのかというと、主人公には健忘症という病気があり、10分以上前のことは覚えていられないからです。(ただし健忘症になる前の記憶はある)

つまり、カラーのシーンを逆順で並べることで、観客はそのシーンを見ているとき、主人公と同じく次のシーンを見るまでは主人公が何をしたせいで、あるいは何をされたせいで今こうなっているかわからない仕組みになっているのです。

これがこの作品の構成のうまさなのです。時間がたつにつれ、観客がどんどん物語の真実へ核心へと迫っていく。過去を思い出せない主人公に代わって。これが本作の醍醐味なのです。

本作品はこれ以上の説明をするとスポイルしてしまうので、気になった方は是非見てみてください。多分配信で見れます。

まとめ

本作はクリストファー・ノーランが2000年に初めて出資されて作った映画で、彼はこの作品を高く評価され、ダークナイト三部作やインセプション(2010)など、世界に名だたる映画を作り出していくことになります。

彼の作品の特徴の一つに、過去作からの引用があります。『ダンケルク(2017)』のエンディングの砂浜にある数々のヘルメットのシーンは、『プレステージ(2006)』の冒頭と酷似していたり、まあとにかく例をあげたらきりがないので置いておきますが、例にもれずメメントも後の作品でオマージュされている部分がたくさんあります。

彼自身もこの作品が転機であったと公言しているのでノーラン作品を見たことのある人、あるいは純粋に『映画好き』ってどんな映画が好きなんだろうと気になる人はぜひ見てみてはいかがでしょうか。

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