ルックバックの単行本が発売された。即予約した一冊だが発売日までは把握していなくて、書店に並んでいるのを見てしまったものだからAmazonでの注文をキャンセルしてその場で購入した。
知らない内に知らない方面でネガティブな話題になっていたようで、修正に修正を重ねた第3稿に位置するらしい。Webの修正版は閲覧期限切れで読めなかった。どうやら登場する犯人像でひと悶着あったという。
自分は好きな作品においては創作者第一主義であるので、好き嫌いの感想はあれ否定だけは論外であると考えている。その点で修正を作者が納得していないことを前提とすると不満はあるが、漫画媒体の単行本化に当たって再校正されることは度々あるので判断はできない。だから完全に受け取り手次第ということになる。
この話題に関して『〇〇科医による問題提起』が大嫌いで、次に『〇〇の人は〜』と自身の属していない集団を代表する発言が嫌いだった。
前者は専門家の意見であり、おそらく妥当なもので正しいというバイアスがかかってしまうからだ。これも偏見と言われるが、Twitterでは意見を拝借することで正しさを補強しようとする節がある。仮定のロジックで「〇〇は〜のステレオタイプがあるから、」という主張に対して以降の発言に共感できずとも、自然と「ステレオタイプがある」という部分への注意は逸らしてしまう。ステレオタイプを認めた上で問題提起すると指摘したステレオタイプを認めてしまい、結果としてそれを増強し得るという側面を無視しているようにも思う。
後者は純粋に「主語をでかくして代弁するな」という個人的な思想だ。外野の代弁は該当集団に属す人の主張を見つけるまでのノイズにしかならない。
焦点としては「自分も同一視されると思うと怖い」という意見だ。被害妄想として切り捨てることを容易だが、受け手の感性もまた否定はできない。それに当事者であるがために自明に不安がる人物が存在する。これを汲むかどうかは編集社次第だ。
結局のところ多くは外野が場外乱闘していて、その印象が強く思い返しやすいといったところか。再読しても「単行本化に当たって再校正された」と感じる範疇であった。
お世辞にもページ単価のコストパフォーマンスは良くないが、紙媒体で所持するに値する作品だと思う。
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