積雲が映像制作したMV『RANGEFINDER』公開中
専門積雲

MVを作った上でよかった点、次回に生かしたい反省点

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反省点を箇条書きで書いていきます。完全に忘備録的な記事になります。

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良かった点

原作小説を書ききったこと

これはやってよかったことの一つですね。作曲の人と作りたい物語の共通認識が持てたことと、音楽の方向性を調整しているときに引用ができたこと。そして何より「MVでどこを描くべきか」というところの意識を最後まで保てたのは常に原作小説を脳内で映像化できていたからでした。

延期はしたが、公開日を決定して延期した点

完成できた理由のうちで最も大きいものだと思いました。単純に納期を意識して、完成させることが念頭におかれるようになりました。また、周囲がわかりやすく、「10日出るんですよね?」「10日、期待しています。」といった具合にプレッシャーをかけてくれるのでそれがモチベーション維持につながったと思います。

一週間おきに目標を宣言して進捗を報告しあっていたこと

これがとてもよかったです。どれぐらい進捗が進んでるかを自他ともに把握できました。また作曲者のカナイさんと映像の私双方がお互いに進捗に圧をかけ続けることができたのでそれが完成につながったと思います。

『間に合わない完璧なもの』ではなく『納期に間に合う完成したもの』を公開したこと

設定した公開日に対してできたものに納得がいかない部分も多くありますが、それでも自分の宣言した公開日にきちんと公開したことで、プレッシャーをかけてくださった方々や曲のカナイさんに対しても応えることができたと思います。

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反省点

絵コンテを書かずにプリヴィズ(実写素材)を直撮りしたこと

実は本作は絵コンテを一切書いていません。当初は書いていたのですが、1サビ前まで書いたところで力尽きてしまい、「どうせ脳内に映像が浮かんでいるならプリヴィズ(ロトスコープの元となる実写素材)をそのまま撮ってVコン代わりにすればいいか」と思ってそれからそうしていました。

しかしこの手法の場合、ブラッシュアップすることができないのが最大の問題点でした。脳内の映像はいわゆる理想であり、プリヴィズに起こしてしまうと齟齬が発生しがちで、その齟齬を直そうとしても脳内の映像とのギャップを比較検討する方法がなく、さらにプリヴィズ撮り直しが大変なため、最後まで違和感のあるプリヴィズを作らざるを得ない状況にありました。

絵コンテを苦しくても描き切っていれば、

  • プリヴィズのどこに違和感があるのか、どうすればそれが解消できるのかを模索できた
  • もっと良い画面構成や場面切り替えを検討することもできた
  • 全体のカット数も早い段階で把握でき、工数見積もりができた

→結果としてより良い映像ができたと思います。

背景を先に書かなかったこと

これも反省したい点です。下敷きにする実写素材はすべてそろっていたのですが、それを絵に起こす作業が間に合わず、結果として一部は美術あり、大部分は実写素材+AEのエフェクトという混合状態になってしまいました。

間に合わなかった理由としては写真を背景素材に落とし込む作業に関しては手法を確立しましたし、ほとんど流れ作業的に製作が可能なものだったので、最後に回そうと放置した結果、圧迫したスケジュールの中で完成させるために実写素材の加工に切り替えざるを得なくなったからです。

理想的なタイミングとしてはVコンができたタイミングで背景美術の実写素材をVコンに取り込み、その背景美術のサイズや移動などの演出を決定し、画面に表示されうる範囲のみを効率的に素材にするという流れが好ましそうです。

線が細すぎた/ペンツールのアンチエイリアスを有効にしていた

線が細すぎたのも作業を遅延させた原因の一つです。線が細ければ細いほど絵としては主張が少なくて好ましいのですが、さすがに1920*1080 144dpiでGペン0.3mmは細すぎました。次は0.5mmベースにしたいと思います。

ペンツールのアンチエイリアスを有効にしていたのも作業を遅延させた要因でした。塗りつぶしにかかる時間が増えてしまったからです。実際のアニメ現場では二値化した線画に色を塗り、再度線画にアンチエイリアスをかけるという処理をしていると聞くので、次回はそれに倣いたいと思います。

次回MVの理想的なワークフロー・日程設定(仮)

1.MV脚本小説・キャラクターデザイン(~12/18)

MVの物語構成、脳内映像の確定。作曲者とのイメージすり合わせ。

2.Vコン(12/19~12/31)

脳内映像の書き起こし、音源とのマッチング。カメラワーク演出等の検討。音ハメ等もここで検討。

3.背景美術プリヴィズ撮影(1/1~1/3)

カメラを持って舞台となる場所でVコンをもとに実写素材を撮影。

4.背景美術製作(1/4~1/26)

背景美術製作。一日一枚。

5.作画(1/27~3/25)

人物作画は第一に作画MADを参考にし、それでも作れない動きやエフェクトに関してのみプリヴィズを使用する。

6.撮影処理(3/25~)

AEメイン。微調整や追加カットの検討を行う。

まとめ

RANGEFINDERを完成させられることができて、自分自身いろいろこれはよかった、これは悪かった、次はこうしようといった形でノウハウを蓄積できた感じがあります。

この感覚の失われないうちに次の作品に取り組んで、よりよいアニメ・映像を作っていきたいです。

 

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