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獏井×LOVE SALON対談:自主制作アニメーション『spotter』に込めた想いとは

積雲

先日10月30日にアニメーション作家として活動している獏井さんから自主制作アニメ『spotter』がリリースされました。

そして本日、エンディング曲『変動』がサブスク解禁され、またMVもリリースされました。

この機会に合わせ、アニメーションを制作した獏井さんと曲を担当したLOVE SALONさんで対談を行いました。今回は2人の出会い、そして過去のコラボレーションMVである『オオグチ』そして今回の自主制作アニメーション『spotter』について制作秘話や作品に込めたメッセージを語っていただきます!

2人のプロフィールはこちら。

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アニメ:獏井

どんなアニメ作家?:自主制作アニメーション、MVを中心に活動。
得意ジャンル:尖った作品作りが特徴。ファンタジーが得意。
代表作:『ワカサワダカマル』『オオグチ』『spotter』

 

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音楽:LOVE SALON

どんなアーティスト?:2021年より活動開始。
得意ジャンル:オルタナティブ
代表作:『呪い愛』『オオグチ』『変動』

2人の出会い

お二人の出会いは?

人

LOVE SALON

 音楽活動を始める前に、Twitterで獏井さんがみたまごさんという方とスペースしているのを聴いて、僕が急にリクエスト送って喋り出した・・・みたいな感じですね。

人
獏井

そうっすね〜

人

LOVE SALON

 スペースで色々な出会いがあった感じですね。スペースがなかったら多分誰とも話していないような気がする・・・

アニメMV『オオグチ』制作秘話

2022年の6月、初コラボとなるMV『オオグチ』がリリースされました。オオグチでのコラボはどんなきっかけがあったのですか?

人

LOVE SALON

 オオグチは、その頃には獏井さんと頻繁に作業通話をするような感じになっていたので、何か面白いものを作りたいですね〜みたいなところからスタートしました。

人
獏井

そういう感じのノリですね。金銭のやり取りがどうのこうのより、面白いやつが集まって面白いことしようぜ、みたいな感じですね。

めちゃくちゃいいですね。当時、お二人とも自分の作品がリリースされているような状況だったとお伺いしております。LOVESALONさんから見て、獏井さんのアニメはどんな印象でしたか?

人

LOVE SALON

 本当に獏井さんは、個性というか。(良い意味で)思考とか発想が尖っている人だなあと。元々獏井さんの自主制作アニメとかも拝見させていただいていて。良いなぁ〜って感じでした。

獏井さんから見たLOVE SALONさんの印象はどうでしたか?

人
獏井

 僕も結構尖っているなという印象を持っていて、オオグチでポップに寄せてもらったみたいな感じですね。

人

LOVE SALON

そうですね。(オオグチを作る上では)面白いもので、僕も獏井さんもそこまでポップではないから、ちょっとポップ寄り作りません?みたいな感じで。

人
獏井

オオグチを作る前も後も尖った感じの印象があります。

人

LOVE SALON

それは本当に、お互い様というか(笑)

人
獏井

(笑)

人

LOVE SALON

獏井さんと作れば、絶対に面白いだろうなと。

『オオグチ』の制作秘話に入っていきたいのですが、具体的にどんな形で進めていったのでしょうか?

人

LOVE SALON

週一ぐらいで打ち合わせしてましたよね。

人
獏井

 そうですね、そこでイメージを擦り合わせて・・・という感じで。でも、ここをこうして欲しいとかこうしろとか、そういう意見のぶつかり合いがあったわけではなくて、もうお互い自由にやろうぜ、それ良いんじゃね、みたいな感じで。

人

LOVE SALON

 最初はラスサビが決まっていない状態のデモ音源を送って始めた気がしますね。それでラスサビを作る段になって、結構衝動的に録ったところがあって。まだMixとかなんにもしてない状態のやつを動画で画面映した状態で送って。これでどうですかね〜みたいな感じで決めた覚えがあります。

人
獏井

 口出しはせずに。

人

LOVE SALON

そうですね。お互いに口出しはしない感じで進めてて。獏井さんから映像が送られてきた時に、すごいしっくりきてたんで。流石だな〜って感じでした。

『オオグチ』より

制作期間はどれくらいだったのでしょうか?

人

LOVE SALON

 2022年)1月の半ばぐらいにデモを送ってたので5ヶ月ぐらい?

人
獏井

 お互いに忙しかったので、そんなにスパン短く仕上げるみたいな感じにはできなかったというか。自分は他のMVも並行してやっていて、それが2月と5月に出てたので

人

LOVE SALON

 お忙しそうでしたよね。僕はシンプルに生活の方でバタバタしていて。お互い時間のない中作っていた記憶がありますね。

『オオグチ』で伝えたかったメッセージは?

人

LOVE SALON

 大きい命題としては「やらなきゃはじまらない」みたいなのがあって、そこは歌詞に込めてますね。

獏井さんはデモ音源で歌詞を聴いた時どんなメッセージを受け取りましたか?

人

LOVE SALON

 僕も獏井さんも関西住みで。関西弁入ってるじゃないですか。おもろいものを作る上で、標準語よりは関西弁の方が面白いかなって。

人
獏井

 結構ポップに売れる要素にやってくれたのかな、って感じでしたね。今になってみるとちょっと後悔している部分もあるというか。

人

LOVE SALON

 後悔してる部分ありますか?(笑)

人
獏井

もう尖ってるままでやってくれてよかったかな〜って感じで。ポップ路線という話を出したのは、2021年の年末にLOVE SALONさんがEP出してて、その中に『変動』っていう楽曲があって。『spotter』で使った曲なんですけど、そこと比較して、(オオグチは)ポップだなあと。

こうして完成したのが、初のコラボレーション作品『オオグチ』です。

アニメーションMV:『オオグチ』

音楽:LOVE SALON
アニメーション:獏井
リリース日
2022年6月3日

公開後の反響はどうでしたか?インディーアニメ史観を書かれたとびたさんからの長文感想ツイートとかもありましたよね。

人

LOVE SALON

 あれは通知きてびっくりしたな(笑)

人
獏井

映像的にはポップな感じと外しギャグみたいな感じなんですよ。とびたさんのとは別に、「(漫画家の)吉田戦車さんみたい」だっていう感想があって、それが印象的でしたね。

『オオグチ』より

人

LOVE SALON

 1番言われたのは、相性いいですねっていう感想でした。僕を知ってくれている方はオオグチからという方が多くて。ありがたいですね。

『オオグチ』は各種サブスクにて配信中です!

自主制作アニメーション『spotter』制作秘話

『オオグチ』から間が空いて、今回の『Spotter』で一年振りの『オオグチコンビ再結成』という感じになったのですが、いつかはまたコラボしよう・あるいは今度は自主制作アニメをやろうと考えていたのですか?

人
獏井

 元々『変動』が好きで。自主制作アニメのエンディング曲として使わせていただけないかという打診はしていたという感じですね。

人

LOVE SALON

 『変動』リリース直後からこの曲が好きだと言っていただいて。

人
獏井

 エンディング曲に使うとか以前に、普通に好きな曲だったので。

人

LOVE SALON

本当にありがたいですね。

制作面の苦労をお聞きします。獏井さんは10分ほどの尺の自主制作アニメを数本制作されていて、一般的に個人制作で作る映像の尺からするとかなり長めだと思うのですが、どのような感じで作られているのでしょうか。

人
獏井

 MVと違ってコンテを切ってないので、あれやりたいこれやりたいってどんどん盛り込んで行ったり状況説明でカットを重ねていって、結果的に長尺になっているだけって感じですね。

意識して長尺を作ろうとしたわけではなく、結果的に16分という長尺になったとは、驚きです。

人
獏井

そうですね。

「詩的」と評される『spotter』ですが、具体的にどのような話でどのようなメッセージが込められているのですか?

人
獏井

 どういう話かでいうと、異界に行って、一回戻ってきて、怪物と戦って、というか。行って戻ってくる話です。異界に行く前の現実もそんなに現実っぽくないので、異界の中の異界みたいな感じになっています。宮沢賢治作品の『銀河鉄道の夜』みたいな感じで。最後に怪物との戦いで一瞬の現実が挟まっています。

 テーマとかメッセージは僕が言っちゃうと正解になっちゃうので。本作とは関係ない僕自身のクリエイターとしてのテーマで言うと、「虚無と戦う」とか「死者と共に生きる」とかになってきます。本作のテーマはみなさんが感じるがままに受け取っていただいて。

今回アニメーション側にセリフやストーリーがありますが、LOVE SALONさんは『変動』を録り直すにあたって影響を受けた部分はありますか?

人

LOVE SALON

 僕は映像には全く介入していなくて、徐々に長くなっていくアニメを眺めていたというか(笑)実は劇伴も少し担当していて。劇伴の方に結構時間をかけていて、変動の録り直しが結構後になってしまって。獏井さんからは「録り直さなくていい」というスタンスだったんですけど自分は絶対に録り直したくて(笑)2年前だしなぁ。
作品を出すときは「その時の自分」というのが結構大きくあって。だから録りなおすタイプです。エンディング曲は一度納品したんですけど、そこからいじって録りなおしたりとかして。「獏井さん、やっぱりこっちでお願いします」って出した次の日にアニメが公開されて。結構(納期的に)危なかったのかなって。楽曲制作としては結構粘って作った感じですね。

「今の自分」にこだわって制作されたのですね。

人

LOVE SALON

 そうですね。(原曲の方は)2年前で音楽のことを探り探りで作った曲だったんですよ。活動を始めて3ヶ月ぐらいの頃ですね。その時よりかは上手く作れるぞ、という気持ちがあって。多少はいじったにしろ、音源自体よりもボーカルを録りなおしたという感じです。今の自分、空気感ですかねぇ。

 それと獏井さんのアニメを見て、この歌い方のほうがいいかなぁみたいなのもあったので。半分自己満足・半分獏井さんに沿うような形で録り直したって感じです。

人
獏井

僕自体も変動という曲にかなり影響を受けてspotter』を制作したという部分があって。介入はされていないけど、曲に影響されてアニメを作ったという感じです。

『変動』のどういう部分に影響を受けたのですか?

人
獏井

歌詞で「左手で握手してくれ そしていつか俺を見て 左手で握手してくれ そしていつか 俺を見てほしい」というのがあって。見てくれじゃなくて、見てほしいっていう部分とか。最後の部分も「いつもいつもここで歌う これからを」っていうのもあって。spotterでも、怪物が姿を現したというニュースよりも不倫の方が大きく一面に出てる紙面とかのシーンを入れていて。

(世界は)変わらないんですよね、それくらいじゃ。それでもスポッターになるというか、照らし続けるみたいなことを伝えたくて。曲のメッセージも、「辞めない」「続ける」というメッセージが伝わってきていて、そこから影響を受けています。(原曲の)EPの最後の方では「ありがとうございます」というのが入っていて。

『spotter』より

こちらが原曲版の『変動』です。

人

LOVE SALON

 (原曲の)『変動』は5曲入りのEPのうちの一曲なんですけど。そっちの方では、ガサガサにした声で「ありがとうございます」って入れていて。EPのタイトルが『個人的終末』で。当時は色々なことに疲れて、社会とかにも飽き飽きして「終わりだー」と思ってた時期に作ってた曲たちで。
その時は詩とか言葉とかを集めたり見たりするようになっていて。「左手で握手してくれ」という印象的な歌詞なんですけど。これはジミー・ヘンドリクスの「左手で握手してくれ、こっちの方がハートに近いから」っていう言葉があって。そこから影響を受けてって感じですね。いますぐ、じゃなくても、いつか聴いてくれたら、という感じの曲なんで。

人
獏井

 その感じがアニメにも出てると思いますね。僕的に「ありがとうございます」っていう部分が結構大きくて。『spotter』も最後は「見つけてくれてありがとう」という形で終わるんですけど。あれは先輩からの「見つけてくれてありがとう」っていう作品中のありがとうと、もう一つのレイヤとして、僕が視聴者さんに向けてありがとうって言っている、ということでもあって。それまでは「見る人だけが見ればいい」みたいに思っていたんですけど、(『変動』を聴いて)見てくれる人に感謝だなあと思って。そこはすごい影響を受けました。

『spotter』より

自主制作アニメーション『spotter』は現在YouTubeで公開中です!

自主制作アニメーション:『spotter』

アニメーション:獏井
劇伴・エンディング曲:LOVE SALON
リリース日
2023年10月30日

色々な思いが込められた作品になっているのですね。今回録りなおした、spotter ver.の『変動』がMV化されましたが、MVの映像はどちらが制作したのですか?

人

LOVE SALON

完全に獏井さんですね。

人
獏井

 それでも『spotter』のカットを再編集しているような形なので、そこまで苦じゃなかったですね。編集の時に、改めていい曲だなあと思いましたし、MVにしてる時にラストの「あの街もこの街も〜」のところの疾走感がいいなあと感じました。

そしてMV『変動をもう一度!』は本日11月22日リリースとなります。

アニメーションMV:『変動をもう一度!』

音楽:LOVE SALON
アニメーション:獏井
リリース日
:2023年11月22日

まとめ

サブスクも解禁され、MVも公開されました。記事を読んでくださった読者の方に一言メッセージをお願いします。

人
獏井

『spotter』の中盤の盛り上がりのシーンで「非現実な現実で生きろ」というセリフがあるのですが、そこからとって「生きろ」と言いたいです。

人

LOVE SALON

好きなこと続けましょう。

ありがとうございました。

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