筆者はLinuxを好んで使用しているが、Windows実行形式のアプリケーションを必要とすることも多い。
そこでWineを使う。このツールはWindows仮想環境を構築するのではなく、Windowsと同等の挙動を再現する。大変便利なのだが標準では一部文字化けが起こる, 外観がダサいといった短所を持ち合わせている。
今回はそれらを解消することでWineをより使い勝手のよいツールに昇華させることにする。
文字化けの解消
これは代替フォントがインストールされていないことが要因となって起こる現象だ。
これを解消するにはまずwinetricksをインストールする。以下は筆者の環境での導入例である。
sudo pacman -S winetricks
次にfakejapanese
パッケージを導入する。MSフォントの置換としてfakejapanese_ipamona
をインストールしよう。
winetricks fakejapanese_ipamona
以上で文字化けが解消できた。
fakejapaneseのみを導入した場合
上記の方法でfakejapanese_ipamona
をインストールすると、依存しているfakejapanese
パッケージも同時にインストールされる。
ipamonaフォントをインストールしなかった場合、結論として文字化けは解消する。しかし、適当なフォント置換を行っていないため可読性の低いフォントになる可能性がある。
テーマの適用
Wineの標準テーマはダサい。”テーマ無し”の状態であると言うのが正しいだろうか。
WineはMS Stylesというテーマ形式をサポートしているが、現行のWindows 10のテーマには対応していない。現状サポートを確認しているのはWindows XPのテーマだ。
筆者は以下のサイトで紹介されているテーマをダウンロードした。(他にDEVIANT ARTという海外サイトで有志のテーマが多く公開されている)
インストーラーで導入するテーマであった場合はEXEファイルを実行するだけで追加できるのだが、それ以外の場合は自分で配置する必要がある。
~/.wine/drive_c/windows/Resources/themes/
標準ではResources
フォルダが存在しないので作成しよう。
mkdir -p ~/.wine/drive_c/windows/Resources/themes/
テーマの選択はWine設定から行う。winecfg
というコマンドで起動することができる。
テーマが適切に配置されていれば設定項目からテーマを選択できる。
また、【テーマをインストール】から直接.msstyles
ファイルを指定して追加することも可能だ。
Royaleテーマを適用した結果、上のような外観になった。Windows 98を思い起こすような外観からいくらかマシになったと思う。
アンインストールしたアプリがメニューに残る問題
Wineでインストールしたアプリケーションの一部はパッケージマネージャーからインストールしたものと同様にメニューに表示される。
しかし、アプリケーションをアンインストールしてもメニューからは消えないといった問題に遭遇した。(アンインストールはwine uninstaller
コマンドから行った)
調べた結果、ショートカットファイルが削除されていないことが原因であることが分かった。
ショートカットファイル~.desktop
は以下のディレクトリに置かれているので、該当ファイルを削除すれば解決する。
~/.local/share/applications/wine/
import_dll Loading library WLDAP32.dll failed
見出しのエラーはldsp32がホストのLinux環境にインストールされていないのが原因で発生する。
筆者の環境では以下のlib32-libldap
パッケージを導入することで解消した。Arch系Linuxでない場合も「ldap」で検索すれば見つかるだろう。
sudo pacman -S lib32-ldap
あとがき
以上の問題を乗り越えてWineはより使いやすくなった。可能であればテーマをデスクトップ環境に合わせてみようと思う。
Wineの日本語の情報は古いものが多く、公式サイトへのリンクも無効なものが多い。この記事が新しくLinuxを使いはじめた人に少しでも役立つことを願う。
コメント
あ、WindowsXPのテーマ、標準テーマ(Luna)がたりなかったので一応配布します。(誰もいらないと思いますが…)
WindowsXP本体から抜き出してきました。
https://www.mediafire.com/file/paa3vx3y2t2i575/themes.zip/file