【制作企画】小説とADVの読みやすさ

専門

前置きしておくが僕はこの分野に精通している訳ではない。踏み切れなかった「気力」を持ち合わせていた程度だと考えて欲しい。


ADVには文字数という制約がある。

小説のように1面で何百文字を埋めることはできない。

自分は「読み返し」が小説の特徴のひとつであり、ADVの読みづらさの要因となる側面を持つと考えている。

この点で本ブログのシナリオライターとの不一致があるので、持論ではあるがひとつ例を挙げようと思う。

下のような文章がある。僕は物語を書けない人なので内容は大目に見て欲しい。

物書き「どこが読みづらいのか分からん。何が悪いの?」
スクリプタ「…被指示語を見つけにくいんだよ」
彼は元来小説書きだ。わからないのも当然であるし、スクリプタの読解力がないだけかもしれない。
しかし、小説の美しさがADVの美しさに直結するとも限らない。そのことを彼には理解してもらいたかった。
不満を吐露していた物書きは、その一言に深くため息をついて席を外した。

縦書きでも良いだろう。

物書き「どこが読みづらいのか分からん。何が悪いの?」
スクリプタ「…被指示語を見つけにくいんだよ」
彼は元来小説書きだ。わからないのも当然であるし、スクリプタの読解力がないだけかもしれない。
しかし、小説の美しさがADVの美しさに直結するとも限らない。
そのことを彼には理解してもらいたかった。
不満を吐露していた物書きは、その一言に深くため息をついて席を外した。

物書きスクリプタの意見が違い、議論が平行線であることを悟った物書きが離席する」的なイメージ。

別に「これくらい地の文を挟め」という意図ではない。コミカルな会話劇も面白いと思う。授業中に前席のヤツとそれをされたり、いちいち内面でツッコミを入れられると困るくらいだ。「描写が少ない=整合性がない」という訳でもない。登場人物への思い入れが少なくなるだけだ。

声が入れば描写も減らせるだろうが、ここではボイスがないことを前提する。

話を戻そう。上の文章をADVの形式に落とし込んでみる。

物書き「どこが読みづらいか分からん。何が悪いの?」
1 / 5

まず、この状態では装飾の簡素さが目立つ。ADVである利点を活用するべきだ。

改行やページ移動を用いてテンポも工夫するべきだろう。

これらに関してはシナリオライターが注文をつければ作業はスムーズになると思われる。

最適であるかは不明だが、取り敢えずいくつか微調整を行った。

物書き
「どこが読みづらいか分からん。何が悪いの?」
1 / 6

さて、本題に入ろう。

上のスクリプトを読んで違和感はなかっただろうか。僕個人としては「6ページの『その一言』ってどれ?」と感じる。

「その」とは何を指すか。この例文の意図として「その一言」は2ページ目のスクリプタの発言を指しているが、ADVではその間2〜3ページをまたいでいる。

小説では1ページに収まるので直ぐに理解できるだろうが、ADVでは「その」から類推する距離感が変わってしまう。

地の文であっても前ページを指していると勘違いする可能性があるし、「その一言」の印象が薄い場合に数ページ読み返す必要が出てくる。これが頻繁に起こると疲れてしまうだろう。

ってか、最近のノベルゲームエンジンに標準でオート機能が搭載されている理由を考えてもらいたい。そういう構成が流行りなんだ、きっと。逆行を望むならNVLにしよう。

ADVでは指示語の距離感が遠くなりやすい。使う場合はできるだけ直前を指せるようにする。オート機能もあるので「読み返し」を多用しない構成が好ましい。

また、3ページ目では「彼」と「スクリプタ」といった主観と客観が入り混じった表現がある。

主観統一であれば地の文であれ名前を表示するといった外観の工夫ができるが、混合していると難しい。

客観と解釈しても「彼」をスクリプタと勘違いする人が居るかもしれない。客観であればわざわざ物書きと書いても良いだろう。下手に拘るくらいなら名前で統一した方が潔いのではないか。

なるべくストレスなく読むためには統一した方が良いと感じる。特にページ内では。

今回は4行目の表現を踏まえてスクリプタの主観で統一することにする。

代名詞の扱い方によっては意図せずミスリードさせてしまう可能性がある。全体が見えないことを念頭に紛らわしい表現は避け、ノンストレスで読めるように校正する。

他には物書きの離席後、スクリプタの主張までに動きがなくて寂しく感じる。「席を立った物書きをぼんやりと見つめながら」といったイメージができるような描写が入るとスムーズに読める。

以上の観点から修正を試みたのがこちらだ。

物書き
「どこが読みづらいか分からん。何が悪いの?」
1 / 9

(基本的に以上の2点で本ブログ企画のシナリオは読みやすくなると判断した。)

先にも述べたが持論である。「正解」ではないだろう。どれも「正解」を定義するための過程にすぎない。


ここで言っておこう。無視してくれ。僕はこの持論に責任を持たない。そう転換した。だが以前の発言を引用する以上、埋込みに影響を及ぼす範囲内で発言の焼き直しをしたまでだ。

そもそも感覚で書かれている以上、他者の一意見程度ではシナリオに反映されないでしょ。一度、自分自身がその分野を受け入れて飛び込み、感覚を更新する必要がある。

小説とADVが違うことは分かっただろう。プランタを用意しただけで整合性は生えてこないんだ。雑草じゃないんだから。

生えてきた雑草にも楽しみ方は生まれる。愛着も出るだろう。それは面白さの一種かもしれないし、評価もされるかもしれない。しかし、その雑草の名前は「テーマ」ではない。壮大なテーマを重視する以上は無視できないんだ。

是非シナリオライターにも体験版で構わないのでノベルゲームを嗜んで欲しい。ボイスなしで。そして会話劇と情景描写のバランスを確立してもらいたい。

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