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映画『果てしなきスカーレット』を観てきた

レビュー

公開初日のレイトショーで映画『果てしなきスカーレット』を観てきた。

結論面白くなかった。

細田監督やスタッフが「面白い!」と考えて作っていたのか疑問に思った。監督はどんな想いで作ったのだろうか。

2時間尺のアニメーションを全国劇場で公開するという途方もない苦労に見合う創作欲はあったのだろうか。

脚本のギミックで驚き感嘆してほしい、自分だけが作れるものを伝えたい、原作の評判に乗っかって収益面で一山当てたい。大抵は何かしらの欲が伝わるもので、それがNot For Meかどうかで評価は変わるけど、映画として観る価値は感じるものだ。

過去作『竜とそばかすの姫』は『美女と野獣』をやりたいをベースに、『サマーウォーズ』のOZをリメイクしたい、歌声を強みにしたい、多くのスタジオの力を借りた最前線のアニメーションをみせたい、現実の社会問題にひとつ希望をみせたいといった欲があった。

でも本作『果てしなきスカーレット』は何処に良さがあるか分からなかった。細田ハムレットを作りたいだけだったのか。伝えたいものが分からない。高尚な引用を学のない筆者が拾えていないだけの可能性もある。それなら学をつけたいと思い、各所感想を漁っている。

映像面は平面テクスチャのような城の背景や、安っぽいVR空間など劣化している部分が多い。

世界観が浅いため「生も死も、過去も未来も交じり合う」ほどの多文化感はなく、明らかに登場人物の年代・国に偏りのあるうえ、言語問題は有耶無耶にしたいだろうに具体的な国名を出すから前提情報がアンバランスになる。よく分からん婆と竜もノイズ。

中盤、スカーレットの葛藤の核になる父の言葉も、「どういう意味だろうか、考えてみよう」「Aだろうか、Bだろうか」「何か違う気がする」「Cではないか」といった生産性も自然さもない会話劇が続く。竜そばの推理パートから成長していない。

米粒みたいに国民を並べれば大規模感が出ると考えていそうで、その癖その規模の会話劇はできないから一部を切り取るしかない終盤シーンは、発言の軽さも相まってギャグになっていた。

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