伊勢神宮は日本中の神社を束ねる総本山であり、古くから人々を引き寄せてやまないスポットです。最近では天皇陛下が自らの退位を報告する「親謁の儀」を行うなど脚光を浴びています。一方で都市圏からは離れており、主に車やバスでの参拝客が多い場所となっています。今回はそんな伊勢神宮へ実際に自転車で行ってみた筆者の所感を書いていきます。
伊勢神宮公式HP
今回伊勢神宮に行くきっかけとなったのは、大学のサイクリングサークルの勧誘からでした。入学祝いに買ってもらったビアンキのロードバイクを持て余していた筆者はさっそくサークルの新入生歓迎ライドに参加することにしました。その行先こそが今回の目的地である伊勢神宮でした。
◆初めての長距離ライド
当日は強い風が吹き荒れ、晴れ間から時折天気雨の降り注ぐ不安定な天候でした。出発前にはライドを決行するか話し合う場面もありましたが、サークル長の「予報は晴れだから」という鶴の一声でライドは決行されることになりました。
一度に大勢が走ると交通上の不便が発生するので部長が集まった十数人のメンバーを3つの班に分け、2班になった筆者は午前8時過ぎ、1班から遅れること3分ほど後に大学の正門を出発しました。
◆風の心地よい行きのライド
距離にして50kmほどの伊勢神宮へ行く際、自転車ライダーであれば誰しもが嫌うのが強風です。当日はレジ袋が空を舞うのを幾度となく見届けたほどの風でしたが、往路はそれが味方し、追い風という好条件の中ほとんど疲れることなく正午には伊勢神宮までたどり着くことができました。
途中でへんばや本店へ立ち寄り、先輩方からへんば餅をごちそうになりました。へんば餅のへんばとは江戸時代に伊勢参りに来た参拝客がここで休憩した後馬を返して(返馬)して伊勢参りに臨んだことに由来します。
◆そして伊勢神宮へ
初めての伊勢神宮ということもあり筆者は先輩たちの後を追いかけて美味しいものを食べようと画策します。先輩方も快くいい店を紹介してくださり、時にはごちそうになることも。
筆者は牡蠣が大好物なので、牡蠣茶漬けをいただきました。牡蠣にしみ込んだ出汁がご飯やワサビとの相性抜群で、これはうまい!
◆いざ参拝へ
参拝してこその伊勢神宮ということで食べ歩きの後は内宮へ。入ってみると通常の神社と異なりとにかく鳥居が多いという印象。
なお、各鳥居の詳細はこちらから知ることができます。
肝心の参拝ですが、賽銭を投げた後普通の神社と同じく2礼2拍手1礼を行い願い事をして終わりです。特に伊勢神宮特有の儀礼があるわけではないようです。筆者も日頃の願い事をありきたりに願ってきました。
そんなことをしているうちに出発時間の午後2時になりました。
◆向かい風に阻まれた帰り道
帰りですが、サークル恒例の「一年生を一人で帰らせる」という行事が行われ、筆者は一人で帰ることになりました。さらに「極力スマホや地図を見ない」という規則まであるそうで、土地勘などあろうはずもない場所を標識のみを頼りに進まなければならなくなりました。
そして何より障害となったのが、行きでは大きな味方となった吹き荒れる風が、今度は向かい風として吹き付けてきたこと。これがかなりキツく、普段から運動不足の筆者は後続の同級生や先輩にどんどん追い越されていき、ついには一人で見知らぬ街でわけもわからず自転車をこぎ続けるという未知の体験をしました。
そうしているうちにもうどこまで進んだかわからない絶望に耐え切きれなくなり、また空腹が限界を迎えた筆者はどこからともなく漂う甘美な香りに釣られついに禁断の行動へ出たのです。
店内でカレーを待ちながらスマホを見ると、もう既にほとんどのメンバーは大学に到着しているようでした。一方考えてみれば筆者は残り十数キロの地点で空腹に負け、勝手にカレーを食べだす始末。申し訳なくなった筆者は早めにカレーを平らげてライドを再開しました。
国道を走る大型トラックに怯えながらもめげずに漕ぎ続け、ついに夕方の6時過ぎに大学へ到着しました。長かった・・・・
さすがに誰も残っていないと思いきや、先輩方が残っていて迎えてくれました。労をねぎらう言葉をかけてもらう内に、自分の中に今まで味わったことのない壮大な達成感がわいてきました。
◆まとめ
さて、記事のタイトルにもある「自転車で伊勢神宮に行くとどうなるのか?」という問いですが、筆者の所感をまとめると「大変疲れるが、神に願い事ができる上に計り知れない達成感が得られる」といったところでしょうか。記事を書いている今も足がパンパンで筋肉痛に苦しんでいますが、写真を見返すたびにライドの余韻に浸っています。本当に行ってよかったです。
読者の皆さんも県内の名所へ自転車で行けば運動になる上GWの暇を有効活用できるかもしれません。
最後にサークルの先輩方ありがとうございました。
※いきなり長距離ライドに挑戦することはお勧めしません。筆者も一応60kmほどのライド経験があった上で臨んでいます。まずは往復10km~20km程度のライドから始めて慣れることをお勧めします。なおこの記事を読んだことに起因する傷害等の責任は取りかねます。
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