京のCPUが届きました

レビュー

一昔前に蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」で世間を騒がせた理研のスーパーコンピュータ『京』ですが今は後継のスパコン『富嶽』のスペース確保の為に運用終了、解体されました。

皮肉なことに政府がスパコンにかける予算が厳しいのは相変わらずらしく、ほぼ一年ほど前、運営主体である理化学研究所が『富嶽』運用にあたって寄付を募っていました。

寄付と言ってもただの寄付ではなく、なんと先着1000名に限り5万円以上の寄付者には京で実際に使われたCPUが貰えるとのこと。

もともと自作PCを組んだりしてパソコンのハードウェアに興味があった筆者はいい機会だと思って5万円を理研に寄付しました。去年の3月初めのことでした。

今回は京のCPUってどんなものなのかと、京のCPUが届くまでの顛末、そして関連する政治的な問題について書いていきたいと思います。

京のCPU『SPARC64 VIIIfx』

ダンボールを開けると黒く「京 K computer」と書かれた箱が入っていました。

その箱を開くとクリアファイルが挟まっていました。

ファイルには色々書類が入っていて、スパコン京の歴史や、実物だよという証明書、「無償譲渡」と書かれた紙などがあります。

そのクリアファイルの下に京のCPUであるSPARC64 VIIIfxがありました。

桐箱の中に丁寧に収まっています。ヒートスプレッダには〇〇〇/1000と言った具合に通し番号が書かれています。

手で持つとこれぐらい。

裏側はこんな感じ。ピンが全部切られてるのかなと思ったらBGAらしい。

サイズ的にはコンシューマー向けintelAMDCPU(LGA1200SocketAM4)より一回り大きく、サーバー用(LGA3647Socket sTRX4)よりは少し小さいか同等かなといった感じ。正方形です。

CPUに関して詳しい内容は開発元の富士通のサイトによくまとまっているの載せておきます。

高性能・高信頼と低消費電力を兼ね備えたCPU 「SPARC64™ VIIIfx」 - 富士通
スーパーコンピュータ「京」のために富士通が設計・開発したCPU「SPARC64 VIIIfx」の高性能・高信頼・低消費電力技術をご紹介します。
富士通SPARC64プロセッサの軌跡
メインフレーム、スーパーコンピュータ、UNIXサーバに搭載するSPARC64プロセッサの開発。その軌跡をたどります。

CPUの性能的な印象としては2010年の8コアCPUTDP55W2Ghzということで「当時にしては」高性能だと感じました。知らんけど。

ちなみに動かすことはほぼできないと思われます。マザーボードの入手がほぼ困難なのと、もし組めたとしてもSPARCという特殊なアーキテクチャのために普通のOSやソフトはほとんど動かないからです。完全にお飾りですね。

ちなみに転売禁止です。調べてませんが個人取引サイトで出回ってるものがあるとしたらダメなやつです。もらった人は黙って家宝にしましょう。

届くまでのエトセトラ

寄付したのは去年の3月始めですが、コロナ禍ということもあってだいぶ時間がかかったみたいです。

大体の流れは自分の場合

2/4寄付申請

3/10寄付する

3/11寄付確認のメール届く

7月頃 早期に寄付したのは人たちに京が届き始める(200番台まで?)

【本物】スーパーコンピュータ「京」のCPUを入手しました!

10/29CPU準備してますとメール

11/18CPU211月頃に送るとメール

1/25CPU届く

とまあこんな感じでした。

正直7月頃に届いた報告を見た頃には「ああ、先着で間に合わなかったんだな」と思って諦めたのですが、多分そこで「自分のはまだか」と掛け合った寄付者がいたらしく(したい気持ちはよくわかる)10月末に連絡があったと思われます。

遅いと言えば遅いのでしょうけど、それでもクオリティーはすごく高かったので、自分としては全く気にしてません。そもそも寄付だしね。

なぜ「無償譲渡」でなければならないのか

書類の中に「京のCPUは理研の資産だけど無償譲渡するよ」という旨の書類があります。これは笑いました。

つまり「寄付してくれてありがとう。寄付とは全く関係ないけどこれタダであげるね」という体らしいのです。

なぜこういうことになるのかというと簡単に言えば税金で買ったものを民間に横流しして利益を得てはいけないという決まりがあるからなのです。まあ当たり前のように思えるのですが、これが割と根の深い問題なのです。

ゴミケ

ゴミケご存知でしょうか。国公立大学のパソコンや実験道具は公費によって賄われており、先程の京のCPU同様の扱いになります。しかし普通のパソコンや実験道具は寄付の代償になることはなく、また民間に売却もできないので、大学の空き地に捨てられます。

大学によってはいわゆる捨てスポットが学生の名所と化し、廃棄された「資産」を学生が勝手に「盗難」するということが公然と行われるようになります。これが『ゴミケ』です。

ゴミケはマウスやモニターを買うお金がない貧乏学生の助けになることがありますが、それでも「よくないこと」であることには変わりありません。廃棄された物品が環境を汚染することも考えられます。また大学の見た目も悪くなります。

ゴミケがなぜ発生するかと言えば公費で買ったものが資産という扱いになり売却ができないという決まりにあります。確かに大学や研究所が公費で買った「資産」を勝手に売却して利益を得るのは間違っていると思いますが、それだけを規制するのにさまざまな不条理が発生していることを考えると、もう少し柔軟な運用ができても良いのでは、と感じます。

少なくとも「ゴミケ」ではなく、大学や研究所が寄付してくれた学生や民間人へと堂々と物品を譲渡できる場を設けるなどの工夫はあっても良いのではないかと感じました。

まとめ

10ヶ月と少々待ちましたが想像以上のクオリティで驚きました。後継の富嶽はこれまでの地震や気象のシミュレーションだけでなくマスクの効果シミュレーションなどで大きく報道されるなど、コロナ禍においてますます市井に多大な恩恵をもたらしています。

「富岳」で新型コロナ飛沫の大量計算を実施、感染リスクはどこにある?
理化学研究所のスパコン「富岳」を用い、コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する飛沫の飛散シミュレーションが実施されている。理化学研究所が独自開発する流体シミュレーションソフトウェア「CUBE」による飛散シミュレーションの概要、注目すべき結果などについて、理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー/神戸大...

その一部が自分の寄付だと思うとなかなか誇らしい気分です。

富嶽が解体される頃にもまた寄付してみたいと思います。

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