かつて先輩と後輩の間柄だった2人の映像クリエイターどうしの対談です。
それぞれがどうして作品を作り始めたのかであったり、作品を作る上での苦労話、そして制作観について、お互いの思いを語っています。
ぜひ全部、見ていってください。(Part3まで続く予定です)
クリエイター紹介
積雲
積雲さんは、アニメMV「RANGEFINDER」を昨年12月10日に投稿された映画監督 兼 当ブログのメンバーです!
ライカM3、F-4EJファントム、名鉄、名古屋襟。好きなものを詰め込んだ映画のようなMVができました。ぜひご覧ください!
RANGEFINDER – カナイリョウタhttps://t.co/Xj62OaegCR#indie_anime pic.twitter.com/eq4r8l38Sf
— 積雲 (@sekiun_creation) December 10, 2021
ritar
ritarさんは、Abemaニュースでも取り上げられました「なんでもドラムマシン」をはじめとして、こんなものがあったらいいな!という映像作品を作っていらっしゃる方です!
なんでもドラムマシン pic.twitter.com/JVwyyuUIJ8
— ritar (@rtr_dnd) September 16, 2021
対談

よろしくお願いします

よろしくお願いします

よろしくお願いします
お久しぶりでございます笑

お久しぶりでございます
積雲さんのアニメの話

アニメを拝見いたしましたよ。
本当に凄いと思っています。

光栄です…。めちゃくちゃ光栄ですね。

そもそもあんな長い映像を作るのってめちゃくちゃ大変じゃないだと思うんですよ。本当に根性があるなと思って観ておりました。
構想が始まってから完成するまで、かなり長い時間がかかると思うんですけれど、凄いなぁと。

僕はそれが苦手だから短い動画しか作らないんですけど。だから5分間とかある動画を作るのはめちゃくちゃ凄いと思います。

ありがとうございます。想像以上に褒めちぎられる会になりそうな…

笑笑

想定してたのと笑

いやぁめちゃくちゃ凄いので

ありがとうございます!心から嬉しいです!
なぜアニメ企画が始まったか

アニメってどういう流れで始まったんでしたっけ?

大本から話すと、2021年初頭に投稿したブログの抱負がきっかけで…


とにかく、抱負ありきでスタートして、そこからどんどんと話がでかくなっていく感じを伝えたくて…笑

そもそも実は去年、ギャルゲを作ろうとして頓挫していて…

そんなことがあったんだ笑

そこから説明すると埒が明かないので説明しないんですけど、ただ原因ははっきりしていて、ブログメンバーの誰一人も作品を作ったことがない人達で作ろうとしていて、頓挫してしまったというところがあって、ギャルゲを作る代わりに、アニメを一本作れる状態になってでかいことをやろうかなと。

なので今年は一本作品を作るということを考えて、
前々から、Twitterのハッシュタグで#indie_anime
というものがあったんですよ。そのタグがついたGIFやら動画を(数万フォロワーの居る)大きなindie_animeアカウントが拡散してくれるんですね。

なので参入しやすいかなと。そういった環境を利用して、一本作ってみようかなと思った感じです。


はいはい。一応ここらへんはちゃんと見ていたのでわかります。

このとき気をでかくしたので、「映画一本作るぞ!」とかって言い出し始めたんですよ。

見てました見てました。
この時点では本当にできるのかな。出来たら素晴らしいなという感じで、今年やりたいことリストとかは見させていただいてました。

それでこのあたりでちょうど、Twitterにスペースが実装されたじゃないですか。

よくスペースやられてますよね

それで僕、スペースの人になったんですけれど笑

笑笑

いつもスピーカーにいる人みたいな。
そこでindie_anime界隈があるということを知ったし、indie_animeはただアニメを作るというよりは、MVとか商業案件を取っている人が多くて、作曲界隈とも結構近くて…

割と最近にボカロ曲にアニメMVとかつけるようになりましたよね

そうですね。2019年ぐらいから急激に。
アニメを専門に作り始めた人が出てきたのも、そのぐらいだと思います。

それでスペース入ってみると、アニメの人とともに作曲の人も入ってきて、このMVいいよね、あのMVいいよねって盛り上がるんですけれど、
カナイリョウタ氏との出会い

その作曲者の中でカナイリョウタさんと出会って、僕が映画作ります!とかでかい口を叩いてるときに、「主題歌みたいなの作りたいんですが」と申し出があって、6月4日に冒頭何分を作るぞと発表して、そこから本編を作る前に、まずはアニメMVを作ろうという話になって、僕はアニメの力を鍛えられるし、カナイリョウタさんはMVを作ってもらえるという。

すごいですね。めちゃちょうどいい目標設定で。

それで10月31日に出すぞって言ったんですが、ここから僕がめちゃくちゃ迷走しまして笑

2ヶ月ぐらい手が動かなくて、いろいろなことをして、脚本をちゃんと書こうと思って小説を書いたんですよ。MVを作るときにアイディアの根源となるようにと思って。それを作曲の人に読んでもらって、メロディラインとか歌詞とかを考えてもらったという感じです。

なので、実は普通にアニメMVを頼むとはかなり作り方が違っていて、
小説「RANGEFINDER」ありきで、それに映像と音楽がついてくるという感じの作り方をしました。

やっぱりこんなタイムスケールで作品をつくるってめちゃくちゃ体力がいると思うから、

そうっすね

いいことしてんなと笑

笑笑
実物を参考に「一番カメラを丁寧に描いたアニメを作りたい」(積雲)

それでデモ音源が結構早い段階の8月頭には上がってきていて、基本的には映像は音楽を聞きながら作っていたんですけど、その時点では曲の尺が3分50秒ぐらいだというのがわかっていたので、小説からどこを拾ってきて、どうやって映像化しようと考えながらやっていて、

ここで実は僕、アシスタントが一人いて、同じ高校の同級生の人にいくらか払って、基本的には動画素材のトレースを依頼してやってもらっていて。たとえば戦闘機のゲームの映像とかをトレースしてもらったり。

あ~、ゲームの映像をトレースしていたんですね。

そうですね。戦闘機に関してはそんな感じでやっていて、

描けない部分は結構資料を参考にしていて、カメラとかは、ほぼ実物を見ながらやっているし、学校とかも高校時代に撮ったやつだとか、ある程度使えるものを使っている感じです。

対談をするならと思って映像を見返してきたんですが、映像を見ていて、結構カメラの反射だとかが良いなとか、指でフィルムを巻くやつとか素敵だなと思っていたんですが、それはどうやってやっているんですか?

動画撮っていて、えっとメルカリで商品を紹介するためのブースみたいな白いやつがあるので、その下で作業するみたいな感じでやっています。

実物を見ながらやっているという感じなのですね。

そうですね。ほとんど実物ですね。逆に想像で描いた物は少ないかもしれないです。
ゼロからは描けないので笑

ただ今回の作風だといいことばかりですよね。リアルになるし、描きやすいし。

1から描いて直すよりも手間はかからないので、アシスタントがいるから、とりあえず動画を撮って投げれば進捗が生まれるっていう。

なるほどね~

作業進まないときでもとりあえず、動画を撮って送るとだけすれば。

そんな監督みたいなことをしていたんですね。

そうですね。

それで帰ってきた線画を僕が見るという感じでカメラ周辺は、やっていました。ただ後半には間に合わないので、キャラの色彩設定を送って、ここからスポイトして塗ってと任せていて、

それがさっきの服だけで走っている映像の正体ですね。

あ~そういうことか!ようやく質問の答えがわかりました

それでその後、僕が顔を書き足すっていう。

顔だけは自分で描きたいという感じですか?

描かないと無理ですね。顔は流石に。
リアルな人体からのデフォルメは流石に難しいので。
なのでそこは頑張りました笑

これは無限に言われてると思うんだけれど、普段僕はアニメMVとかよくみるわけじゃないんだけど、あそこまで機械に愛が溢れてるアニメMVは結構初めて観た気がする。

いやぁ親近感じゃないけど、機械が好きなんだなぁって嬉しいなぁってS

いや正直ね、そこが一番目指したところではある。
当初は本当にストーリーとか画面構成とかどうでもよくて、
とにかくこの世で出ているアニメの中で、一番カメラを丁寧に描いたアニメを作りたいって思って。

いや、めちゃくちゃ良いと思います

これマジで他作品の批判になるのであんまり言いたくないんですけど、
カメラをノスタルジーのためのオブジェクトか何かだと勘違いしているって思うんですよ。

なるほどね~!
いいなぁそれ、マジでいいなぁ

なんかこう、セピア色になって、パーフォレーションで穴開けておけば勝手に過去になるっていうの大っ嫌いで…

ははは…笑

ははは笑笑

そんなことないんですよ、フィルムは今も生きている。
フィルムを使って撮ることを楽しんでいる人たちも居るのに、
なんかそういうところの理解のない安直なフィルムカメラ作品大っ嫌いで、カメラは使うものなんだよっていう

いやもうそういうの、マジで好きです
いや良いなぁ

強い意識を持つことが、自分の作品を作ることの意義かなと。

いや本当にそうだと思う
やっぱり差別化ポイントがあることってめっちゃ大事ですよ
なんで自分がやるのかっていう

そうですね
ritarさんの創作における差別化ポイント(創作観)

ritarさんとしては自分の作品で差別化ポイントはあるんですか?

差別化ポイント…なんでしょう…

縛り…自分に縛りがないと、全アイディアが対象になっちゃうので、
作るときの縛りって大事だと思うんですよ

だからアイディアを出すときに縛りっていうのが必要だと思ってて、
たとえば俳句とかも五七五七七っていう縛りがあるから、創意工夫が生まれると思ってて
だから全部の創作を自分がやるってなっちゃったら全然アイディアとか出ないと思う

自分がこれをやるんだってなったら、それにまつわるアイディアが出ると思ってるんですけど

そうっすね

そうですね、自分がつくるときの縛りとしては、ギリギリ技術的な目処が立ちそうっていうのがありますね

あ~

納得しますね

完全にフィクションなら、もうSF映画を作ったほうが良いと思うんですけど、でもギリギリできないものを、やり方はわかるけれど制御とかがまだ現実的じゃないものばっかりを作ってるかな?
だから本当にファンタジーみたいなのは作らない

見ていて、あったら欲しい!って思うんですけれど、それが正にそういうところなのかなと。

いやぁありがとうございます。なんか恥ずかしいですね笑

なんかこう、お二人って似ていますよね

あ~そうですね、現実との結びつきがあるっていうところは一緒かもしれないですね
ritarさんのアイデンティティは高校時代のマテリアルデザインから

ritarさんのメディア欄を遡っているんですけど、
あんまり知ったかぶりするのは良くないと思うんですけれど、
高校時代のあの血統が生きてるなぁって

あはは、生きてますよ笑
アイデンティティが人生で変わった経験がないから
ずっとあのままなんだよなぁ

なんというか、あのピッタリ感というか

あのピッタリ感? なんだろう笑

こういう乱雑なものを、整理していくっていう

まぁマテリアルデザインってそういうことだと思うんですよ
マテリアルデザインって現実からインスピレーションを得て、現実の良いところだけを取ってこようっていうのなんですけど、
そういう感じの動画を作りたいですね
[編集注釈] マテリアルデザイン(Material Design)
Material is an adaptable system of guidelines, components, and tools that support the best practices of user interface design. Backed by open-source code, Material streamlines collaboration between designers and developers, and helps teams quickly build beautiful products.
Material Guidelines – https://material.io/designマテリアル(デザイン)とは、ユーザーインターフェイスのデザインの方法を提供する指針や要素、そしてツールなどの統一感のある(デザイン)システムです。オープンソースなソースコードに裏打ちされており、マテリアル(デザイン)はデザイナーと開発者の間を合理化して、チームの美しい製品を短期間でつくることを助けます。(編集者訳)
簡単に言えば、Googleが提唱している、合理的で美しくありながら、ソフトウェア製品を短期間でつくれるようにするデザインシステムです。

単なるサティスファイ動画ではなくて、現実の延長線上にあるっていうのが良い

それは確かにあるかもしれない
魔法みたいなVFX動画っていっぱいあって、すごいって思うんですけど、自分はそこまでのVFXの技術ないので笑
まぁそれも差別化ポイントの要因になってると思うんですけど
それでやりたいことでもある

実際、ARだったりVRだったり、映画みたいなものが出るときに、結構ガバいものが出来て、それを人々が許容していくっていう流れがあると思うんですけど

まさにそうですね。出ないんですけど、まぁなんでしょう……

現実世界に基づいてことにすれば、VFXの技術がめっちゃあるわけじゃなくても言い訳ができるじゃないですか

そうですね

そのほうが実物っぽくていいとか多いと思うんですよ

いやぁそうですね

そういう意味で割と、都合がいい縛りだったと思います
現実の延長線上の、ギリギリありそうなもの

確かになんか言われてみると、なんか本当になんか実際こういう使い方になるんだろうなぁっていう映像になってて…いいですね

いやでもまあでも、本当に実現するべきUIかどうかっていうと、意外と穴も色々あるんですけど。
でもまぁ、まだまだフィクションなのでっていう

なんかこう役に立たないものを、なんか一回作ってみるのはやっぱ大事だと思ってるんで、
たとえば椅子をキレイに並べようのこれ「マジで要る?」って思ってるので笑

笑笑

正直言うとこれ要る?っていう

いやでも気持ちがいいじゃないですか笑
なんか本当に絶対に必要かどうかっていう基準よりは、アイディアを作るっていうのなら別にこんな動画なんかじゃなくてビジネスをやればいいと思うんですよ。

いやぁそうですね

なんかそれよりはなんかギリギリあると嬉しくて…。みんなが必要としているよりはみんながあんまり見たことのないインタラクションかどうかで、つくる動画を含めているかな?

例えばなんだろうな?
喋った言葉が瞬時に日本語になって翻訳されて表示されるよ、とかってめっちゃ需要があると思うんですけども、無限に見たし、全然つまらない映像になっちゃうと思うんですけど。

そうですね

まだ見たことないものを創るのと、要るものを作るって、どっちもめちゃくちゃ難しいと思ってて、両方ともあるものしか作らないっていう縛りはマジでキツすぎる縛りだと思ってるんですけど、

いやぁキツイですね

どっちを緩めるかっていうので、僕は見たことないって方は緩めたくないかないので、まぁギリギリ欲しいくらいものならいいかなっていう。

あ~、そうですね

それが、その動画を作るかどうかの判断基準。
(創作は)自分が作っているものを心から信じてないとできない

でもなんか実際問題、なんか凄く便利なものだけで世の中成り立ってないし。

そうですね、多分。

ちょっと前にYouTubeで観たものを…引用したくないんで動画貼らないんですけど、クラウドファンディングでめっちゃ金集めたのに、全然売れなかったプロダクトシリーズみたいな動画があって、

はいはいはい、結構、僕は観ますよ

方向性ちょっと違うと思うんですけど、これまでになくて、欲しいと思うみたいなところを攻めるけれど、実際問題いらないみたいな。
そういうのがアイディアである内は、めちゃくちゃ面白んですよね、見てて。

うん、うん、そうだと思います。

そういうのかなって思いましたね。

うん、うん。

映像として観る分にはっていう。

いや、そうだと思いますよ

いやまぁ、ビジネスやってる人は凄いと思いますよ。

1個のアイディアを紙に書いて設置するっていうのが一番楽な方法で、その次ぐらいに動画とかがあって、その次ぐらいにプロトタイプ作るのがあって、そして最後にビジネスにするっていうのがあると思うんですけど、

1個のアイディアを信じてビジネスにできるっていうのはマジで凄いことだと思うので、だからさっきの、積雲の動画の長い動画をつくるってのは、根性あるっていう話じゃないですけど、まぁ根性あるなぁと思いますね

長いものを作ってて思うのは、自分が作っているものを心から信じてないとできないっていう

いや本当にそうだと思いますよ

そうですよね、やっぱり何を信じるかは正直忘れたんですけど、とにかく信じてないと作業ができなくなるんですよね。

ビジョンというか、公開日のわくわくを、ですね。

そうですね。あと制作面でいうと、圧の掛け方とかは割と自分で狙ってでかいことをいって、後で自分を苦しめるタイプのやり方をやっていて、

いやマジですごいと思う。それできるの。

いや精神やばいんで、本当にヤバかったんで、
しばらくはやりたくないですね。

マジでうまいと思います。自分へのプレッシャーの掛け方は。
わかんないけど。マジちょっとしか見てないんで。
話の途中ですが、すいません。一旦ここまでで、キリをつけます!
また次回の更新をお楽しみください!
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